提案されたモータで早速試作し、分かった利点。納期を守り顧客要求にも応え、競合と差別化

「正直に言って、要件は非常に厳しいものでした。しかし、競合メーカーの営業も活発化していて、失注しないためには納期厳守で取引先の要望に応えるしかなかったんです」

とH社の製造責任者K様は振り返ります。

搬送装置の開発製造を行うH社は、取引先の増設やラインの組み換えで、厳しい要求にも迅速に対応することで、競合との差別化を図ってきました。

今回H社は、取引先の自動車部品メーカーから設備増設の相談を受けました。その自動車部品メーカーは、精密部品の製造ラインを早く増設して立ち上げなくてはならないという事情があり、H社は短納期での対応を求められました。

取引先へ問い合わせをするなどをして詳細を調べてみると、装置の設置スペースは非常に狭く、既存ラインで採用している構成では装置が到底収まらないことが分かりました。その設置スペースに装置を収めるためには、あらゆる部品の小型化が必要でした。

そもそも、既存の搬送装置にも課題がありました。その装置は低出力のACモータを採用していますが、ワークの停止位置が不安定なので改善が必要でした。

限られたスペースに余裕なく増設したライン上では、停止位置のわずかなズレが不良品発生につながります。停止位置が安定しないことは、新しい装置では大きな問題となります。

このため、高い精度で制御でき、かつ細かな設定変更や調整も簡単に行えるように、装置を機構から改善する必要がありました。

納期が差し迫る中、K様は過去に別のモータの案件で問い合わせをした当社の営業部門にご連絡されました。

当社の営業担当者は、モータ、ドライバ、コントローラが一体化したステッピングモータをご提案いたしました。一体型のためコントローラのスペースを確保する必要がなく、モータを組み込む搬送装置の大幅な省スペース化が望めます。またステッピングモータですと、ACモータと比較して加減速度の設定が容易です。

さらに、ご提案したモータは「Plexmotion（プレクスモーション）」ブランドで販売する標準在庫品のため、実際に必要な数だけを必要な時にだけご購入頂けます。

興味をお持ちになったK様は早速そのステッピングモータを取り寄せ、装置を試作しました。

K様が試作品で検証してみたところ、ステッピングモータは加減速度が容易に設定できるだけでなく、場合によっては即停止もできるため、停止位置の安定という課題を難なくクリアできました。

また、一体型のモータになったことで許容スペースに無理なく収まっただけでなく、配線が少なく簡単に設置できるという利点もありました。さらに設定が簡単なので、ACモータからの置き換えも違和感なく進められます。

H社は納期を守って取引先に納品できたうえに、取引先の担当者には「これならライン組み換えの際も簡単にできそうだ」と大変喜ばれる結果になりました。

「1台から購入できたので、すぐにテストできて助かりました。必要な時に必要な数だけ取り寄せることができるのはいいですね」とK様。

K様はこの案件をきっかけに当社へお問い合わせすることが増え、さまざまな装置向けのモータについてもご相談されるようになりました。K様は、「Plexmotion（プレクスモーション）」ブランド製品は全般的に価格が手ごろなため、他の種類のモータも置き換えを検討中とのことです。